【専門解説】足の解剖学解説

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足の解剖学、そして靴選びまでの完全ガイド

1.足の構造に詳しくなろう

足は人体の土台として、移動、衝撃吸収、姿勢維持などの重要な役割を果たします。複雑な解剖学的構造により、わずかな異常でも歩行や健康に影響を及ぼします。まずは足の構造を知り、未然にトラブルを防げるよう、知識を共有していきましょう。

2. 足の骨格構造

足の骨は26個に分類され、それぞれが異なる機能を持ちます。

骨の分類

  • 前足部:中足骨5本、趾骨14本(基節骨、中節骨、末節骨)歩行の推進力を担う。
  • 中足部:舟状骨、立方骨、楔状骨、足のアーチを構成
  • 後足部:距骨、踵骨、衝撃吸収と体重支持

距骨と距骨下関節の重要性

距骨は足関節の中心に位置し、脛骨と踵骨を連結する重要な骨です。距骨下関節は足の回内・回外運動を調整し、衝撃吸収の役割を果たします。

足のアーチ構造

足には内側縦アーチ、外側縦アーチ、横アーチの3つのアーチが存在し、これらは荷重分散や衝撃吸収に関与します。足のバランスに対して重要な役割を担っており、このバランスが崩れることにより、様々なトラブルの原因になる可能性があります。

アーチ構造

足のアーチ構造は、主に人間とゾウだけに見られる特徴で、二足歩行を可能にする重要な構造です。ゾウに関しては体重が重い分アーチ構造が発達しています。

3. 足の筋肉と運動機能

足には多くの筋肉が存在し、それぞれ歩行や姿勢維持に寄与します。

内在筋と外在筋

  • 内在筋(足部に存在):足趾の細かい動きを制御し、アーチの維持に貢献

代表的な例として、短母趾屈筋、短趾屈筋、母趾内転筋、母趾外転筋、小趾外転筋、小趾対立筋、虫様筋、足底方形筋、底側骨間筋など。

  • 外在筋(下腿に存在):足首の屈曲・伸展を担い、歩行動作を支える

特に後脛骨筋や腓骨筋群の強化が、足の機能維持に重要です。長母趾屈筋と長趾屈筋は、足趾の屈曲に大きく関わっています。

歩行に関与する筋肉

  • 腓腹筋・ヒラメ筋:足首の底屈を担当し、歩行時の蹴り出しを支援。

腓腹筋は、膝関節と足関節の両方の動きに関わり、瞬発的な運動(走ったり跳ねたり)で重要な役割を担います。一方、ヒラメ筋は、足関節の動きのみに関わり、静止姿勢や歩行の安定性を保つ持久的な運動で重要です。

ふくらはぎの筋肉
  • 前脛骨筋:足首の背屈を担当し、歩行時の前方移動をサポート

前脛骨筋(ぜんけいこつきん)とは、すねの前面にある筋肉で、足首の背屈(つま先を上げる動作)や内反(足首を内側に捻る動作)に関わる筋肉です。歩行時に、つま先が地面に引っかかってつまずかないようにする役割があります。

前傾骨筋

4. 足の神経と血管系

足の神経系は運動制御と感覚伝達に関与し、血管系は栄養供給を行います。

主要な神経

  • 脛骨神経:足底の感覚と筋肉制御
  • 腓骨神経:足背の感覚伝達

神経障害(例:モートン神経腫)が発生すると、足趾のしびれや痛みの原因となります。

主要な血管

  • 後脛骨動脈:足底に血液供給
  • 足背動脈:足背への栄養供給

糖尿病患者では神経障害や血管障害が生じやすいため、定期的なチェックが重要です。

5. 足の生体力学と運動学

足は歩行、走行、スポーツにおいて特異的な運動パターンを持ちます。

歩行時の足の動き

  • ヒールストライク(かかと接地):衝撃吸収
  • ミッドスタンス(中間期):荷重移動
  • トウオフ(つま先離れ):推進力の発生

スポーツ時の足の機能

ランニングでは腓骨筋群と足底筋膜が重要な役割を果たし、地面反力の伝達に関与します。

6. 足の解剖学的異常と疾患

足の解剖学的異常は歩行機能や健康に影響を及ぼします。

6-1. 代表的な疾患

  • 扁平足:アーチが低下し、足の疲労や痛みを誘発
  • ハイアーチ:衝撃吸収能力が低下し、負担が集中
  • 外反母趾:第1趾の変形により痛みや歩行障害が発生

6-2. 治療と予防

適切な靴選びやインソールの使用、筋力トレーニングが予防と改善に有効です。

7. 靴選びとインソールの重要性

靴の選択は足の健康を大きく左右します。

7-1. 足の形に適した靴選び

  • 扁平足の人:アーチサポート付きの靴が適切
  • ハイアーチの人:衝撃吸収性能の高い靴が理想

7-2. インソールの役割

  • アーチサポートインソール:土踏まずのバランスをととのえる設計のインソール
  • 一般的なインソール:クッション性重視のもの、速乾消臭機能のものなど

8. 靴屋さん的見解というささいな話

スタッフKD
スタッフKD

ここからはひとりごとになりますので、お気軽に読んでね。

今回、記事を書きながら、この業界に入った時のことを思い出しました。スポーツ店勤務から、コンフォートシューズ業界に転職したのですが、まず足の骨や疾患名がずらーっと記載されている書類を「全部覚えるように!」と渡された記憶がよみがえってきました。

そして、靴のサイズを日本規格のcmだけではなく、EUサイズやUSサイズ、なぜか同じ表記なのにメンズとレディスでcmに換算するとサイズが違うなど…。

今なら足を見ればなんとなく、その人の個性が見えるのですが、最初のころは扁平足の感じもよくわからず、見ても何が違うのかわからないことも多々ありました。なんだか懐かしくもあります。今回の記事は、自分の中でも復習の感じで記事にさせていただきました。

自分や家族の足を守るには、まず足の知識を得ることがとても大切になります。ネットでも情報が氾濫している状態です。外反母趾用とうたっているものにも、開帳足を悪化させるような構造のものなどもあり、情報を精査する能力がとても大切になっていると感じています。

あなたとあなたの家族の足を守る知識サイトとして、参考にしていただければ幸いです。

専門チャンネル

ということで、今回は足の解剖学について記事にさせていただきました。

最後までお読みいただき、本当にありがとうございます。

足と靴の知識を深めることは、日々の生活に直結する重要な要素です。皆さまに役立つ情報をお届けできるよう、今後も現場での経験と、専門的な知識をもとに記事を投稿してまいります。

引き続き、足と靴の健康を守るための情報を発信していきますので、ぜひチェックしてください。

good luck

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