もくじ
モートン神経腫のメカニズム
モートン神経腫は、足底神経が慢性的に圧迫されることで、神経周囲の線維化や肥厚が生じ、疼痛や異常感覚を引き起こします。特に第3趾と第4趾の間で発生しやすく、その理由は、3趾と4趾の中足骨の間に最も歪みが生じやすく、荷重がかかる度に神経に負担がかかるためです。

足は母趾・2趾・3趾と4趾・5趾の2つのグループに分かれており、3趾と4趾の間は、骨格構造的に歪みやすく、荷重がかかる度に神経に負担がかかりやすい構造になっています。
神経圧迫のメカニズム
- 深横中足靱帯の影響:この靱帯が神経を圧迫し、慢性的な刺激を与える
- 中足骨の動的負荷:歩行時の荷重変化により、足底神経が繰り返し圧迫される
- 神経周囲の線維化:慢性的な刺激により、神経周囲の組織が肥厚し、痛みを増幅


モートン神経腫のチェック方法

モートン神経腫の初期症状
- 足裏の足趾付け根にヒリヒリ、チクチク、焼けるような痛みがある。
- 靴を脱いだ時には、症状が軽くなる。素足で硬い地面(床)を歩くと、足裏に痛みが出る。
- 足趾を掴む動きや、足趾の間を広げる動きをすると痛む。
モートン神経腫確認方法
- マルダーテスト:足趾の付け根付近を横からつまむと、痛みが強くなる。
- チネルサイン :足趾の間を軽く叩くと、しびれや痛みが指先に走る。
また、足趾を背屈するか、つま先立ちをさせると痛みが強くなります。

モートンの場合、痛みを確認する為に、つま先に荷重をかけるような動きをすると、さらに痛みが強くなる可能性があるので、注意が必要です。
靴とインソールによる対処法
靴の選び方
モートン神経腫の症状を軽減するためには、適切な靴選びが大変重要です。基本的な靴のフィッティングは大前提とします。
幅広のトウボックス
指が圧迫されないよう、つま先に十分なスペースがある靴を選びましょう。
ローリングの強い靴
モートン神経腫の場合、歩行時の蹴りだし時に痛みが強く出るので、足が自然に前に転がるように動くローリングのあるシューズが、神経への圧迫を軽減してくれます。
クッション性の高いソール
適度に厚みのあるソールは、衝撃を吸収しやすく、足裏への負担を軽減します。ただし過度なクッションや、過度な厚みは歩行の不安定に繋がりますので注意が必要です。
適度なアーチサポート
足裏全体で体重を支えやすくなり、足底神経への負担を減らします。
インソールの活用
アーチサポートインソールを使用することで、足のアーチを適切にサポートし、神経への圧迫を軽減できます。
🔹 メタターザルパット(中足パッド)
足部の横アーチが低下し、中足骨頭部に疼痛のある場合などに工夫されて作られ、主に第2~第4足中骨頭部に近い位置を持ち上げるように支持します。中足骨骨頭部の負担を軽減し、神経の圧迫を減らすために有効です。
🔹 アーチサポート付きインソール
モートン神経腫の場合、足の横アーチの低下も主な原因の為、横アーチを適切に保持することにより、神経への負担を軽減します。
🔹 衝撃吸収素材のインソール
歩行時の衝撃を和らげ、痛みを軽減します。
歩行の改善
- かかとから着地し、自然につま先に流れるように意識する。蹴って歩かないこと。
- 姿勢を正し、重心バランスを意識し、足裏全体で立つイメージを持つ。
- 足趾を広げるように意識する。
自宅でできるケア
- ふくらはぎのストレッチ:重心がしっかり足裏に乗るよう、足の裏側のストレッチが重要。
- 足趾ストレッチ:足趾まわりの組織を柔軟にし、神経の圧迫を軽減
- 足裏マッサージ:血流を促進し、炎症を抑える。(痛みがある場合は強くやらない)
- 温熱療法:温めることにより、血流を改善し、痛みを緩和
靴屋さん的見解というささいな話

ここからは独自の見解になりますので、お気軽に読んでね。
モートン神経腫は、初期症状が軽い、他の疾患と症状が似ている、レントゲン検査では異常が確認されにくいなどの理由から、診断されるのが難しい傾向にあります。また完治は難しく、手術しても自分が知る限りでは、あまりうまくいっていない例を多く耳にします。
モートン神経腫で来店される方は、中足骨骨頭部(足趾の付け根部)に痛みを訴え、お話を聞いたり、足のチェックをしていると「モートンっぽいな」と感じる方が多いです。
靴選びとしては、前足部に適度なクッションのあるスポーツシューズやローリングシューズならば、ほぼ痛みの軽減にはつながります。加えて、アーチサポートインソールを入れると、より快適に歩けるようになる場合がほとんどです。
問題になるのは、パンプスを履かなくてはいけない、おしゃれな靴が履きたいなどの希望がでた場合に、難易度が数倍高くなります。そもそもパンプスは前足部に負担がかかる設計ですし、おしゃれ靴はそもそも、その人がおしゃれと感じるものから選択していくので、足に合ってないデザインを希望される…などなど。
パンプスの場合は、甲でしっかり押さえられるベルト付きのもの、インソールが取り外しできて、靴の中に厚みがとれるものの場合は、痛みの軽減ができる可能性があります。
モートン神経腫の症状がでるということは、何かしらの原因で、中足骨骨頭部(足趾の付け根部分)に負担がかかっている状態と考えます。それ負担を軽減させることが、痛みの緩和の第一歩につながります。ヒール靴を極力さける、脱ぎ履きしやすい靴を履かない、前足部で強く蹴りだして歩行しない、など気を付けていけば、完治は難しくとも、痛みは和らいでいく方を多く拝見します。
医療的な治療では、足底板の製作などになる場合もありますが、ほとんどの場合、病院でやることはない感じになるのではないでしょうか…あとは痛み止めを処方されるとか…そもそもモートン神経腫の診断までいかない場合が多々あります。医療用の足底板作成になっても、足底板をいれる靴がしっかり足にあっている事も非常に大切になりますので、注意が必要です。
というこで、今回はモートン神経腫と足と靴の関係性について記事にさせていただきました。
最後までお読みいただき、本当にありがとうございます。
足と靴の知識を深めることは、日々の生活に直結する重要な要素です。皆さまに役立つ情報をお届けできるよう、今後も現場での経験と、専門的な知識をもとに記事を投稿してまいります。
引き続き、足と靴の健康を守るための情報を発信していきますので、ぜひチェックしてください。
good luck