裂足(れっそく)
趾が欠損したり、V字型のように深い切れ込みができた状態を指す。足趾の中央列(第2、第3、第4指)が欠けているために、この状態になります。
【原因】遺伝的なもの、環境的なもの、またはその両方の可能性がある。遺伝子変異はいくつか知られており、特にEEC症候群やSHFM3に関連する遺伝子変異が挙げられる。
【対処法】先天的な場合は、整形外科的治療(手術など)による外観の矯正や機能の改善が中心。後天的な場合は、怪我などによるものが多いと、骨折や外傷の治療が必要になる。
凍瘡(とうそう)
いわゆるしもやけ。冷え込む季節に、手足の指や耳など体の末梢部分が赤紫色に腫れる。 痛がゆさを伴い、ひどくなると水ぶくれができたり、破れて潰瘍ができることもある。
【原因】主に繰り返す寒さによる血行障害が原因。寒い環境で皮膚が長時間冷やされると、血管が収縮し、血流が悪くなる。その後、温められると血管が拡張する際に、血流が一時的に滞り、炎症を起こすことで発症する。
【対処法】炎症を抑え、血行を改善し、再発予防をすることが重要。症状が軽い場合は、ステロイド外用薬やビタミンE外用薬、ヘパリン類似物質外用薬などを使い、血行促進と保湿をする。
あかぎれ
手足の皮膚が乾燥してひび割れを起こし、赤みや痛み、出血などを伴う状態を指す。ひび割れが浅く、わずかなかゆみを伴うものを「ひび割れ」、亀裂がさらに深く、赤みや痛みを伴うものを「あかぎれ」と一般的に呼ぶ。
白癬症(はくせんしょう)
皮膚糸状菌というカビの一種が皮膚に感染することで起こる皮膚の疾患。俗に「水虫」として知られており、足の趾の間や爪、体、陰部、頭など様々な場所に感染する。
【原因】、白癬菌という真菌が皮膚や爪に感染することで起こる皮膚の疾患。白癬菌は、温かく湿った環境で増殖しやすく、感染している人の皮膚から剥がれ落ちた角質や、タオル、バスマットなどの共用品を通じて、人にうつることがある。
【対処法】抗真菌薬(塗り薬や飲み薬)を使用すること。市販薬も利用できますが、症状が改善しても最低でも1ヶ月は継続して使用し、白癬菌を完全に退治することが重要。
爪白癬(つめはくせん)
爪に真菌(カビ)が感染して起こる疾患。症状としては、爪の色が白っぽく濁ったり、厚くなったり、爪がボロボロと崩れやすくなるなどがある。
【原因】真菌(カビ)の一種である白癬菌が爪に感染して起こる疾患。癬菌は、温かく湿った環境で増殖しやすく、感染している人の皮膚から剥がれ落ちた角質や、タオル、バスマットなどの共用品を通じて、人にうつることがある。
【対処法】爪の伸びる速さや、爪の濁り具合によって異なる。爪が完全に生え替わるには、足の爪で約1年以上の時間がかかる。薬を飲み始めても、すぐに爪の濁りが改善されるわけではない。爪の濁った部分が爪の伸びとともにおとされていき、新しい爪が生えてくることで改善していく。
関節リウマチ(かんせつ リウマチ)
関節に炎症が起こり、腫れや痛みが生じる疾患。免疫の異常により、関節の滑膜が攻撃され、炎症が起こる。進行すると、関節の破壊や変形、機能障害を来たすことがある。
【原因】自己免疫反応が関与していると考えられている。免疫系が誤って自身の関節を攻撃し、炎症を引き起こすことで、関節の腫れや痛み、こわばりなどの症状が現れる。また、遺伝的な素因や環境要因(喫煙など)も発症に関わっていると考えられている。
【対処法】薬物療法が中心となる。炎症や痛みを抑え、病気の進行を遅らせるための抗リウマチ薬、生物学的製剤、JAK阻害薬などが使用される。 痛みが強い場合は、関節内ステロイド注射が検討されることもある。靴での対処法としては、まずは痛みがある場合は痛みの除去(柔らかい素材等を極力使用)その後、変形予防の為、しっかりフィットした靴で足関節をサポートする。
糖尿病足病変(とうにょうびょう あしびょうへん)
尿病による神経障害や血流障害が原因で足に生じる病変の総称。足の感覚が鈍くなり、小さな傷や擦り傷が悪化しやすくなる。ひどい場合は足の壊死や切断に至ることもある。
【原因】神経障害と血行障害。神経障害によって足の感覚が鈍くなり、怪我や傷に気づきにくくなる。また、血行障害によって足に酸素や栄養が届きにくくなり、傷が治りにくくなる。
【対処法】早期発見と適切な治療、そして日常生活での注意が重要。フットケア外来を受診し、専門家のアドバイスを受けることが大切。
蜂窩織炎(ほうかしきえん)
皮膚とその下の組織に細菌感染が起こり、炎症が広がる疾患。皮膚に傷や虫刺されなどがあると感染しやすくなる。症状は発赤、腫れ、熱感、痛みなどで、放置すると重症化する危険がある。
【原因】細菌感染によって皮下組織に炎症が起こる。主にレンサ球菌やブドウ球菌が原因となるが、他の細菌が原因となる場合もある。
【対処法】基本は抗菌薬による治療。軽い場合は内服薬で、重症化すると入院して点滴による治療が必要。症状が改善するまでは安静にし、患部を冷やす。
バージャー病(バージャーびょう)
手足の末梢動脈の閉塞を伴う疾患で、喫煙と深い関連がある。閉塞性血栓血管炎、または閉塞性血栓性血管炎とも呼ばれる。
【原因】原因は不明ですが、喫煙が強く関連していると考えられている。特定の遺伝子や歯周病菌との関連も指摘されているが、そのメカニズムははっきりしていない。
【対処法】禁煙を徹底すること。喫煙はバージャー病の発症や増悪を促すため、受動喫煙を含め、禁煙指導を受けることが重要。また、患肢の保温・保護、外傷予防にも努める必要がある。薬物療法としては、血栓を予防する薬や血流を改善する薬などが用いられる。重症の場合は、血行再建手術や交感神経節ブロックなどの外科的治療も検討される。
アテローム性動脈硬化症(アテロームせい どうみゃくこうかしょう)
血管の内壁にプラーク(粥腫)が蓄積することで、動脈が狭くなり、血流が悪くなる疾患。プラークはコレステロールや脂肪、炎症細胞などが集まって形成され、血管を硬くする。
【原因】主に高血圧、高コレステロール、糖尿病、喫煙などの生活習慣病や、遺伝、肥満、運動不足、ストレスなどが挙げられる。
【対処法】主に生活習慣の改善と薬物療法が主流となる。生活習慣では、禁煙、バランスの取れた食事、適度な運動、ストレス軽減などが重要。薬物療法では、スタチン系薬剤、抗血小板薬、血圧降下薬などが用いられる。
末梢神経障害(まったん しんけいしょうがい)
神経が損傷または機能不全に陥ることによって起こる様々な症状を指す。主な症状としては、しびれや痛み、麻痺、筋力低下などがある。
【原因】糖尿病、ビタミン欠乏、アルコール依存症、自己免疫疾患、感染症、遺伝性疾患、腫瘍、骨髄疾患などが考えられる. 身体の片側に症状が起こる場合は、脳神経疾患の可能性もあるため、早急に受診が必要。
【対処法】医療機関を受診して適切な診断と治療を受けることが重要。また、自宅でのセルフケアとして、足先を冷やさない、足の趾を動かす、適度な運動などを心がけることが勧められる。
レイノー現象(レイノーげんしょう)
寒さやストレスなどで手足の血管が一時的に収縮し、指先や足先の色が白くなったり、青や紫に変化する現象。血管が収縮することで血流が一時的に低下し、指先が白→紫→赤と変化することがある。
【原因】主に寒さやストレスで手足の血流が一時的に悪くなる状態。原因は明確でない場合(原発性レイノー現象、レイノー病)と、膠原病などの他の病気が原因で発生する場合(続発性レイノー現象)がある。
【対処法】主に寒冷刺激やストレスを避けることと、血管拡張薬などの薬物療法がある。また、喫煙は血管を収縮させるため、禁煙することも重要。
ズデック骨萎縮(ズデックこついしゅく)
骨折などの外傷後に起こる、自律神経系の異常により末梢血管が収縮し、骨や周辺組織が萎縮してしまう状態。症状は強い痛み(灼熱感)や、皮膚の色調変化(光沢の消失、蒼白、皮膚温の低下)、そして骨の萎縮が見られる。 ズデック骨萎縮は、反射性交感神経性萎縮症(RSD)とも呼ばれる。
【原因】外傷による神経や血管の損傷、交感神経系の過剰な反応が考えられる。
【対処法】主に薬物療法、理学療法、神経ブロック療法などが挙げられる。早期発見・早期治療が重要で、症状に応じてこれらの治療法を組み合わせることが推奨される。
反射性交感神経性異栄養症(はんしゃせい こうかんしんけいせい いえいようしょう)
外傷や手術後に、交感神経系の異常な反応が原因で起こる慢性的な疼痛を伴う疾患。痛みだけでなく、腫れ、皮膚の変化、運動障害、骨の変化など、様々な症状が現れる。
【原因】原因は完全には解明されていない。しかし、外傷、手術、または神経系の損傷などがきっかけとなり、交感神経系の異常な反応が関与していると考えられている。
【対処法】薬物療法、理学療法、神経ブロック、そして心理療法が挙げられる。早期発見と早期治療が重要で、それぞれの症状や状態に合わせて、これらを組み合わせた治療が行われる。
ステロイド性疲労骨折(ステロイドせい ひろうこっせつ)
ステロイド薬の長期使用により骨が弱くなり、疲労骨折しやすくなる状態を指す。ステロイドは骨を作る細胞の働きを弱め、骨を壊す細胞の働きを強めるため、骨が脆くなる。特に、背骨や大腿骨などの荷重がかかる部位で起こりやすいとされている。
【原因】ステロイドを長期使用することで、骨粗鬆症になり、疲労骨折しやすくなることがある。ステロイドは骨の形成を阻害し、骨密度を低下させるため、軽微な外力でも骨折しやすくなる。
【対処法】安静にして患部に負荷をかけないことが重要。その後、症状に応じて消炎鎮痛剤の使用、松葉杖や装具による患部の保護、リハビリテーションなどが行われます。
下肢の短縮(かしのたんしゅく)
交通事故などで骨折を治療した結果、左右の足の長さに差が生じてしまう障害を指す。具体的には、上前腸骨棘(腰骨の出っ張り)から下腿内果下端(内くるぶし)までの長さを比較し、片方の足が短くなっている場合に認められる。この短縮の程度によって、後遺障害等級が認定される。
【原因】骨折による骨の変形や成長の遅れ、生まれつきの病気などが挙げられる。
【対処法】原因や程度によって異なる。主な対処法は、装具療法、手術、リハビリテーションとなる。
先天性内反足(せんてんせい ないはんそく)
生まれつき足が内側に曲がっている状態を指す。多くの場合、足首が硬く、足全体が内側に捻じれたような形になる。この状態は、足の骨の配列異常や、筋肉、腱、靭帯などの軟部組織の拘縮が原因で起こる。放置すると、歩行困難や足の変形につながるため、早期の治療が重要。
【原因】先天性内反足の原因は今のところ不明。生まれつき足が内側に曲がっている状態であり、足首の周りのじん帯が短縮していたり、かかとの骨に異常があると考えられている。
【対処法】ギプスを用いた矯正と装具療法となる。早期に治療を開始することが重要で、多くの場合、ポンセティ法と呼ばれるギプスによる矯正と、その後の装具療法を組み合わせて行われる。
先天性内転足(せんてんせい ないてんそく)
生まれつき足が内側に曲がっている状態の疾患。具体的には、足の裏が内側を向き、足の先が内側に向き、足首が硬く、足の甲が下を向くような変形が見られる。この変形は、足の骨の配列異常や、筋肉、腱、靭帯などの軟部組織の短縮や拘縮によって引き起こされる。
【原因】先天性内反足の原因は、まだはっきりとは解明されていない。多くの場合は、遺伝的な要因や子宮内での姿勢などが複合的に影響していると考えられている。
【対処法】ギプス療法と装具療法となる。早期に治療を開始することが重要で、多くの場合、生後間もなくからギプスによる矯正治療が開始される。重症度によっては、手術が必要になる場合もある。
先天性締扼輪(せんてんせい こうやくりん)
胎児期に羊膜索などが手足に絡みつくことで、くびれ(絞扼輪)やむくみ、指の欠損などが生じる先天性の疾患。
【原因】胎児期に羊膜の一部が何らかの原因で破れて索状になり、それが胎児の指や手足に巻き付くことで発生すると考えられている。この索状物が絞扼輪となり、血流を阻害したり、組織の変形を引き起こしたりする。一部の研究では、遺伝的な要因やその他の外的な要因も関与している可能性が示唆されているが、明確な原因はまだ解明されていない。
【対処法】絞扼輪の解除手術や、癒合指の分離手術、骨移植術、骨延長術などがある。症状や程度によって治療法が異なるため、形成外科専門医への相談が重要。

ということで、今回は足全体のトラブルについて記事にさせていただきました。
最後までお読みいただき、本当にありがとうございます。
足と靴の知識を深めることは、日々の生活に直結する重要な要素です。皆さまに役立つ情報をお届けできるよう、今後も現場での経験と、専門的な知識をもとに記事を投稿してまいります。
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good luck