リウマチと足の関係:靴・インソールによる対応

この記事は約6分で読めます。

関節リウマチは自己免疫疾患の一種であり、関節の炎症を引き起こし、痛みや変形を伴う疾患です。特に足部は日常的な負荷を受けるため、変形や歩行障害が起こりやすい部位です。この記事では、リウマチと足の関係について医学的視点から解説し、靴やインソールによる対応策を詳述します。

リウマチと足の関係性

リウマチが足に及ぼす影響

関節の炎症と変形

リウマチによる炎症が持続すると関節内の滑膜が肥厚し軟骨や骨が破壊されていきます。その結果、関節の変形が起こりやすくなります。足部に関しては以下の症状が多く見られます。

  • 外反母趾親指が外側に変形し、痛みを生じる。母趾が第2趾に潜り込むようになる。
  • ハンマートゥ:足趾の関節が過剰に曲がり、歩行時の不安定さや、靴の上部に足趾が当たりやすくなるため靴擦れの原因となる。
  • リウマチ足中足骨の変形や足底のアーチ低下によって、痛みや歩行障害が発生する。
しばいぬ先生
しばいぬ先生

リウマチと足の変形は、密接な関係があるため注意が必要です。

足部の痛みと歩行障害

関節破壊が進行すると、荷重時の疼痛が増し、歩行に困難を伴うことがあります。特に足裏の痛みや不安定感は、日常生活において大きな影響を与える要因となります。

足の筋力低下とバランスの問題

リウマチによる炎症は関節だけでなく、周囲の筋肉にも影響を及ぼします。足部の筋力低下が進むことで、土踏まずのバランスが崩れタコ・ウオノメ等の疾患や、足の骨が出っ張ってきて地面や靴にあたりやすくなる等のトラブルにつながる可能性があります。

靴とインソールによる足の保護

保護

リウマチ患者向けの靴の特徴

リウマチ患者さまの足を守るためには、適切な靴の選択が重要です。まずは痛みの軽減を目的を第1として考え、それがクリアできた場合に、変形の予防に重点におきます。以下の要点を考慮すると、負担軽減に役立ちます。

  • つま先の広いデザイン:変形した足趾への圧迫を避ける。特に重度の外反母趾やハンマートウの場合は注意が必要です。ただしどこも当たらないサポートのない靴は、足のバランスの低下につながる為、注意が必要です。
  • 柔軟な素材:足の変形に対応し、摩擦を軽減。リウマチ足用のストレッチ素材などもあります。
  • クッション性のあるソール土踏まずのバランスが崩れ、衝撃吸収能力が低下している可能性もありますので、適度な靴のクッション性が必要になります。
  • 足首をしっかり固定できる構造:筋力低下や土踏まずのバランスが崩れていると、足元が不安定になりやすい為、足首からしっかり固定できるシューズが、安定性を高めることができます。

手先のこわばりがある方手先の関節にこわばりがあり、靴ひもを締めれない等があった場合は、それ考慮した靴選びが大切になります。ファスナー付きのものやベルトタイプのものなど、どのタイプならば可能か、確認していくことが大切になります。

リウマチは進行する疾患のため、足の変形が徐々に進む可能性があります。その都度、靴を見直していく必要があります。整形靴等もありますが、靴形状などに制約がかなりあるため、合う人と合わない人がいらっしゃいます。

足根骨(足の後足部)が固まってしまっている場合(専門的な人がみればわかります)は、過度のサポートやホールドはできないので、その方と相談しながら、できる範囲でサポートを考えていきます。

しばいぬ先生
しばいぬ先生

リウマチ患者さまの靴選びは、その人との対話も非常に大事になります。

ウマチの関節破壊が進行する可能性があるため、今回合わせた靴が、翌年には合わなくなる可能性もあります。変形をある程度予想し、調整ができるよう考慮が必要です。

インソールの役割と選び方

リウマチ患者さまにとって、インソールは足の負担を軽減し、痛みを和らげる重要なツールとなります。以下のポイントを考慮すると良いでしょう。

  • 圧力分散インソールタコ、ウオノメ等ができている場合、圧が集中しているサインなので、除圧を考慮したサポートインソールを作成する。
  • アーチサポート付きインソール土踏まずのバランスが崩れている場合、アーチサポートをすることにより、足部の安定性を確保し、変形の予防と負担を軽減させる。
  • ジェル素材やフォーム素材のインソール:アーチバランス等の低下により、足骨が地面等に強く当たる場合は、その部分に柔らかい素材を使用することも可能です。ただし、全体的に柔らかくすると、不安定要素になるので、注意が必要です。

リウマチによる足の変形は個人差が大きいため、専門機関で足の状態を確認し、適切なインソールを選定することが推奨されます。

リウマチ患者が日常で気を付けること

注意

足の定期チェック

日々のチェックを行い、変形や炎症が悪化していないか確認することが重要です。特に痛みの強い部位や腫れのある箇所は、早めに医師に相談しましょう。

適切な運動とストレッチ

リウマチ患者さまは特に関節が固まりやすい傾向にあります。そのため関節の可動域を維持するため、軽度の運動やストレッチを習慣化することが望ましいです。

  • 足首回し:血流を促進し、関節の可動域を維持が期待される。
  • 足趾のストレッチ:足趾(足指)を動かすことにより、足底筋の強化とアーチの維持に効果的。

ただし、炎症が強い場合は無理に運動せず、専門医の指導を受けることが重要です。

靴下の選び方

リウマチ患者向けのシームレスソックスクッション性の高いソックスを選ぶことで、摩擦を軽減し、快適な履き心地を得られます。

靴屋さん的見解というささいな話

しばいぬ先生
しばいぬ先生

ここからは個人的な見解になります。お気軽に読んでね。

リウマチの方を拝見すると、足の変形が全くない方から、重度の変形をともなっているが、痛みはない方、前回拝見した日から数日で、気持ちの変化が起きている方など、足の変形はもちろんのこと、感情のコントロールも難しい方もいらっしゃいます。

靴選びに対しては、変形が進行する可能性があるため、ある程度調整できる猶予を残しておく(あまりジャストフィットにしない)よう心がけることが多く、最初から調整しておくことも多々あります。

理想は「踵に合わせて紐をしっかり締めること」になりますが、手のこわばりで紐がしめれない方も多々いらっしゃいます。その場合はファスナーは上げることができるのか、またファスナーに指をかけるパーツをつければ可能なのか、ベルトならば可能なのか、という色々な問題点をクリアしていくことが大切になります。理想を押し付けて、結局本人ができない…のでは意味がありません。

リウマチの症状で重度の方は、いろいろ靴で失敗しているケースも少なくないので、まずしっかりコミュニケーションをとり、方向性を決めることが大切です。その場ではとても歩きやすそうにしていたけど、家に帰ってみたら不安になってきた、と連絡をいただく方もいらっしゃいます。心のケアも靴選びと同時におこなう必要があることを強く感じます。

というこで、今回はリウマチと足と靴の関係性について記事にさせていただきました。

最後までお読みいただき、本当にありがとうございます。

足と靴の知識を深めることは、日々の生活に直結する重要な要素です。皆さまに役立つ情報をお届けできるよう、今後も現場での経験と、専門的な知識をもとに記事を投稿してまいります。

引き続き、足と靴の健康を守るための情報を発信していきますので、ぜひチェックしてください。

good luck

タイトルとURLをコピーしました