踵骨棘の本当の原因

踵骨棘の痛みは単なる骨の突起が神経を刺激しているわけではありません。「画鋲が刺さっているようなもの」と例えられることが多いですが、実際には踵骨棘があっても痛みを感じない人がいる一方、逆に棘が成長することで痛みが軽減するケースもあります。この事実からも、踵骨棘そのものが痛みの主な原因ではなく、むしろ腱や靱帯の微細な損傷とその修復過程が関係していると考えられます。
靱帯や筋腱が長年にわたり負担を受けることで、微細な断裂が生じます。その修復過程で骨化が進み、踵骨棘が形成されるのです。この骨化現象は、身体が損傷を補うための適応反応の一つであり、本来は痛みを伴うものではありません。しかし、修復が間に合わなくなると、炎症が慢性化し、強い痛みが発生します。特に朝の最初の一歩で痛みが顕著に表れるのは、一晩かけて修復が進んだものの、再び体重をかけた瞬間に微細な損傷が再び生じるためです。これは、かさぶたができる過程に似ており、不完全な修復が続くことで痛みが長引きます。

人類が四足歩行から二足歩行へと進化することで、足底部への負担が増加しました。本来指を握るために使われていた屈筋群が、足部の支持に関与するようになり、日々の動作の中で持続的な負荷を受けることになりました。四足歩行の時代であれば、バランスを取るために前足へ荷重するだけで済んでいましたが、二足歩行では全体重に抗して踏ん張る必要が生じ、足底腱膜や足趾屈筋に過度の負担がかかるようになったのです。この構造的な変化が、現代における踵骨棘の痛みの発生メカニズムに深く関与しています。
踵骨棘はなぜ痛む

また、保証期間という概念を考慮すると、人間の体は本来40歳程度までの耐久性を持つように設計されていたのかもしれません。過去の骨格標本を調べると30代後半の人でも骨棘が多数見られたことがあり、人間の骨格は過酷な環境下では早期に変性を起こしやすいことが分かります。現代のライフスタイルでは、利便性が向上した一方で運動量が低下し、身体の機能が衰えやすくなっています。そのため、踵骨棘の痛みを抱える人が増加しているのかもしれません。
このような痛みの進行を防ぐには、極端な安静を避け、適度なストレッチを行うことが重要です。痛みがあるからといって動かさずにいると、修復の遅れや腱の固着が進み、回復が難しくなります。むしろ、適度な刺激を与えることで血流を促し、柔軟性を維持することが痛みの軽減につながります。痛みに対する恐怖を乗り越え、積極的に動かすことが、長期的な改善への道となるでしょう。

ということで、今回は踵骨棘について記事にさせていただきました。
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