学校の指定上履きが足に与える影響

この記事は約6分で読めます。

学校で使用される上履きについて、皆さんはどのように感じていますか?

「普通の靴と何が違うの?」と思われるかもしれません。

最近都内では、靴の1足制(上履きの廃止)の学校が増えていると聞きます。しかしその理由は校内の下駄箱のスペースを有効活用するとか、下駄箱での混雑を防ぎ感染症を予防するとか…。

靴の専門家からすると、学校の上履きが子どもの足に与える影響について考えると、実はさまざまな問題が浮かび上がってきます。

今回は、学校の上履きが足に良くないとされる理由について詳しくお伝えします。

上履き

上履きに潜む大きな危険性

子どもたちの足は、成長期においては特に大切であり、適切なサポートを必要とします。

しかし、多くの学校で使用される上履きは、機能面や素材の面でそのニーズに応えられていないことが多いのです。

一般的な上履きはいわゆるスリッパの延長のような設計で、必要以上に足が前に滑り、足指が靴のつま先にぶつかり足指が開かなくなります。

これは足の発育に悪影響を及ぼし、将来的な足の問題を引き起こす可能性があります。

スキャモンの発育曲線を考慮した靴選びの重要性↓

扁平足

足のバランス(土踏まず)は、歩行や立位の際に重要な役割を果たしますが、学校の上履きはしばしばこの土踏まずを適切にサポートする設計になっていません

土踏まずのサポートが不足していると、扁平足や外反母趾、その他の足の問題を引き起こす原因となりえます。

特に成長期の子どもたちにとって、適切な土踏まずのサポートがないことは、健康な足の発達にとって深刻な問題です。

しばいぬ先生
しばいぬ先生

様々な個性の足に対して、調整できない靴はトラブル発生しやすいね。

学校の上履きは多くの時間を室内で使用されますが、その衛生状態が保たれているかどうかは常に疑問が残ります。

足は汗をかきやすく、湿気がこもりがちです。この環境は、菌やカビが繁殖しやすく、足の健康に悪影響を与える可能性があります。

さらに、適切な通気性が確保されていない上履きは、足の臭いや感染症のリスクを高めることになります。

足が痛い

学校で一日中上履きを履いていると、足が疲れることがあります。

これは、上履きのクッション性とサポート力が不足しているため、足の負担が増えることに起因します。

適切なクッション性と適切なサポート力がないと、歩行や運動時、足に過度な負担をかけ、痛みや疲労を引き起こすことがあります。また扁平足や外反母趾、関節弛緩を伴っている場合は、その症状を悪化させる可能性があります。

子どもたちが快適に学校生活を送るためには、適度なクッション性とサポート力が必要になります。

学校の体育や運動活動においても、上履きの影響は無視できません。

クッション性とサポート力に欠ける上履きは、運動時の動きを妨げることがあります。

特に、ジャンプやランニングなどの動作において、適切なサポートがない上履きは子どもたちの運動能力に悪影響を及ぼすことが考えられます。

また、不適切な上履きは、転倒やけがのリスクを高める要因にもなります。

靴の専門家からすると、いわゆるスリッパ状態の上履きの構造で運動することは、怪我のリスクを高めるだけで、極端に言うと、運動を避けたほうが良いと感じることがあります。

多くの学校では、上履きの選び方や使用方法について十分な教育が行われていないことが問題です。

子どもたちが適切な靴を選ぶことの重要性を理解せずに過ごしていると、不適切な靴選びが習慣化し、将来的な足の問題を引き起こす原因となります。

学校は、上履きだけでなく、靴全般に関する教育を行い、子どもたちが自分の足の健康を守るための知識を身につける機会を提供するべきです。

しばいぬ先生
しばいぬ先生

足と靴の教育が、親御さん世代からあるべきなんだよね。

改善策

子どもの足の形状は様々で、幅広の子もいれば、華奢な足の子もいます。

また裸足でもまったく問題ない頑丈の子もいれば、靴でしっかり固定、サポートしてあげないと、心もとない足の子もいらっしゃいます。

このような様々な足の形状と、発育をしている子ども達の足を考慮すると、調整のできないスリッパのような履物(現状の上履き設計)だと、何かしらの足のトラブルに見舞われる可能性があります。

そもそも靴の履き方を幼少期の頃より教育を受けていない、さかのぼると親御さんたちがそのような教育を受けてない、さらに教育者である先生たちも、その教育を受けていないのが日本の靴文化の現状です。その結果、小学生でも外反母趾などの症状に悩まされている子も少なくありません。

改善策としては、まず親御さんが靴の知識(靴の選び方や履き方)を身につけることが大変重要になります。そのうえで子どもに靴の履き方をしつけていき、習慣化させることが、足の健やかな成長につながります。

欧米の靴先進国では、園に入るのに、靴をしっかり履くことができるかの試験のようなものがある国もあります。小さい頃より靴の教育があり、親御さんも靴の知識が豊富です。

上履きの改善策としては、学校指定の上履きが、いわゆるスリッパのような構造の場合は、学校に申請し、履物を変えることが可能かの確認。変更が難しい場合は、その履物にインソール等の調整をしてフィッティングを高められるか確認(インソール等扱っている靴屋さんならば見てもらえると思います)してみてください。

まずはご自身で靴の知識を高めていき、自分の身は自分ので守る意識がとても大切になります。

いまテレビCMでもよく見かけるようになった、立ったまま足入れがしやすい靴がかなり増えました。おそらく販売も好調なのではないかと考えます。ただ靴の専門家からすると、とても危険な靴であると考えつつ、日本の靴文化の低さに心を痛めます…。

ということで、今回は学校の上履問題について記事にさせていただきました。

最後までお読みいただき、本当にありがとうございます。

足と靴の知識を深めることは、日々の生活に直結する重要な要素です。皆さまに役立つ情報をお届けできるよう、今後も現場での経験と、専門的な知識をもとに記事を投稿してまいります。

引き続き、足と靴の健康を守るための情報を発信していきますので、ぜひチェックしてください。

good luck

タイトルとURLをコピーしました