足関節(外側)のトラブル

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足根洞症候群(そっこんどうしょうこうぐん)

足根洞(距骨と踵骨の間にあるくぼみ)に痛みや炎症が生じることで、足関節の不安感や崩れ感を伴う疾患。立っている時や不整地での歩行時に痛みが強くなるのが特徴。

【原因】足根洞内の靭帯や筋肉が炎症や圧迫により傷つくことによるもの。主な原因は、足関節の捻挫、長時間の立ち仕事や歩行、足関節の骨折や脱臼など。また、肥満、糖尿病、関節リウマチなども関連するとされている。

【対処法】局所麻酔薬とステロイドの混ぜたものを度施行することで改善することが多いとされる。これに並行して腓骨筋の機能回復や足の深部知覚の改善のためのリハビリを行う。アライメント異常や足の不安定性を起因とした足根洞症候群の場合には、足底板(インソール)を使用する。

踵骨前方突起骨折(しょうこつぜんぽうとっき こっせつ)

足首の内反捻挫(内側に捻じる)で起こりやすい骨折。特に、踵骨前方突起部についている二分靱帯が引っ張られる力で、裂離骨折(剥がれて折れる)が起こる場合がある。

【原因】主に足の外返し捻挫(足が外側にねじれる)による大きな外力と、踵骨前方突起に付着している二分靱帯を引っ張る力が加わることで発生する。具体的には、交通事故やスポーツでの外傷などで、足が外側にねじれ、大きな力が加わることで起こる。

【対処法】骨折の程度や患者の状況によって異なりますが、一般的には固定と安静が中心となる。軽度な場合はギプスやサポーターで固定し、重症例では手術が必要になることもある。

腓骨筋萎縮性扁平足(ひこつきんいしゅく へんぺいそく)

腓骨筋の機能低下によって起こる扁平足の一種です。腓骨筋が萎縮することで、足のアーチを支える力が弱まり、扁平足の状態になる。具体的には、腓骨筋が緊張することで足の外反を強制し、扁平足を引き起こすことがある。

【原因】腓骨筋の過剰な緊張と収縮が原因。捻挫や外傷、運動不足などによって腓骨筋が過剰に緊張することがありますによる収縮が考えられる。また、腓骨筋の筋力低下も原因の一つ。

【対処法】足のアーチを支える医療用インソールの使用が基本。症状や状態によって、筋力トレーニングやストレッチングも効果的。

距骨下関節不安定症(きょこつかかんせつ ふあんていしょう)

距骨(かかとの骨の上にある骨)と踵骨(かかとの骨)の関節が不安定になる状態。慢性的な内反捻挫や繰り返しによる足関節の固定する靭帯の損傷、または関節の異常などが原因で起こる。その結果、歩行時に関節にぐらつきが生じ、痛みを感じることがある。

【原因】慢性的な内反捻挫や、繰り返しの捻挫による足関節を固定する靭帯の損傷、踵骨骨折、骨粗しょう症による踵骨の変形などが挙げられる。

【対処法】軽度であれば、安静、固定、ストレッチ、インソールなどで改善できる場合がある。また、筋力トレーニングやリハビリテーションも有効。症状が改善しない場合は、手術が必要になることもある。

足関節外側靭帯損傷(そくかんせつ がいそくじんたい そんしょう)

足関節外側靭帯が部分的に切れたり、完全に切れたりした状態を指す。症状としては、足首の外側(外くるぶし)の痛み、腫れ、皮下出血、そして歩行や運動が困難になることがある。

【原因】スポーツ中の急激な内反(足首を内側に捻る)や、ジャンプの着地時の衝撃などによる外傷。日常的に階段や段差を踏み外したり、つまずいて捻挫するケースもある。

【対処法】RICE処置(Rest:安静、Ice:冷却、Compression:圧迫、Elevation:挙上)を徹底し、損傷の程度に応じて固定療法(ギプスやサポーターなど)を行う。その後、痛みや腫れが引いてきたら、リハビリテーションを開始し、徐々に運動を再開していく。

前距腓靭帯損傷

前距腓靭帯とは足関節を外側から支えている靭帯で、その靭帯が過伸張、部分断裂または完全断裂する外傷。スポーツによる急性外傷では最も頻度が高く、再損傷する場合も多いので注意が必要。

【原因】足関節を内側に捻る(内反捻挫)ことで起こります。スポーツや日常生活で、足首を強く捻ってしまい、前距腓靭帯が過度に伸びたり、断裂したりする際に起こる。特に、バスケットボールやバレーボールなどのジャンプの着地時、サッカーやラグビーなどの接触プレー時、急な方向転換時などが原因となる。

【対処法】損傷の程度によって異なりますが、一般的にはRICE処置(安静、冷却、圧迫、挙上)を行い、固定やリハビリテーションを行うことで回復を促す。軽度の損傷であれば、サポーターやテーピングで固定し、重度の場合はギプス固定や手術が必要となることもある。

踵腓靭帯損傷(しょうひじんたい そんしょう)

足関節の外側を支える靭帯である踵腓靭帯(しょうひじんたい)が、過伸張、部分断裂、完全断裂する外傷。主に足首を捻る捻挫によって発生し、スポーツ外傷では非常に頻度が高い。

【原因】主に足関節の内反捻挫(内側にひねる)。スポーツや日常生活での不意な転倒、ジャンプの着地時に足が滑ったり、人が足に乗ったりした際に、急激な内反が強制され、外側にある踵腓靭帯が伸ばされたり断裂したりして起こる。特に、バレーボールやバスケットボールなどのジャンプを伴うスポーツで多く見られる。

【対処法】まずはRICE(安静、冷却、圧迫、挙上)療法を徹底し、損傷の程度に応じて固定やリハビリテーションを行う。軽度の場合は、包帯やテーピングで固定し、徐々に運動を再開する。重度の場合は、シーネやギプスで固定し、適切な期間を置いてリハビリテーションを開始する。

距踵骨間靭帯損傷(きょしょうこつかん じんたいそんしょう)

足首の内側、踵骨と距骨の間にある靭帯を損傷すること。主に足首を捻る捻挫によって発生する。

【原因】主に足関節捻挫です。特に内反捻挫(足首を内側に捻る)時に、足関節の安定性を保つ外側靭帯群(前距腓靭帯、踵腓靭帯など)が損傷すると、同時に距踵骨間靭帯も損傷することがある。また、O脚や内反足などの足のアライメント異常によって、常に靭帯が引っ張られた状態になり、損傷を繰り返すこともある。

【対処法】まずRICE(安静、冷却、圧迫、挙上)処置を心掛け、損傷の程度に応じて固定やリハビリテーションを行う. 損傷の程度が重度な場合は、手術が必要になることもある。

距骨下関節変形性関節症(きょこつかかんせつ へんけいせいかんせつしょう)

距骨と踵骨の関節が変形し、痛みを生じる疾患。走ったり、でこぼこ道を歩いたりすると、踵の奥に痛みを感じることがある。

【原因】加齢による軟骨のすり減り、過去のケガ(骨折や捻挫)による変形、過度な使用などによる負担などが挙げられる。また、関節リウマチなどの疾患や、原因が特定できない一次性も含まれる。

【対処法】保存療法では、関節の負担を軽減するための運動療法や、理学療法(ストレッチ、筋力トレーニングなど)、そして、足底板やサポーターの使用、重労働や長時間の立ち仕事の制限などが考えらる。変形が進行している場合は、手術療法として、鏡視下骨棘切除術や足関節固定術、人工足関節置換術などが検討される。

距骨外側突起骨折(きょこつがいそくとっき こっせつ)

足関節の外側にある距骨という骨の、特に外側に出っ張っている部分が骨折する状態を指す。この骨折は、捻挫などで外力が加わった際に発生することがある。

【原因】主に足関節を強い力で捻ったり、転倒などにより足首に大きな衝撃が加わった場合に起こる。具体的には、足首を内反させる(足裏を内側に向けさせる)動きや、足関節を強制的に背屈させる(つま先を上に曲げる)動きが、突起に大きなストレスをかけ、骨折を引き起こす可能性がある。

【対処法】転位(骨折片が本来の位置からずれてしまう状態)の有無や程度によって保存療法(ギプス固定など)と外科療法(手術)が選択される。一般的に、転位が少ない場合はギプス固定による保存療法で、転位が強い場合は手術による固定が検討される。

陳旧性外果下端剥離骨折(ちゅうぎゅうせい がいかかたん はくりこっせつ)

過去に怪我で外果(足首の関節にある骨)の下端が剥離骨折した状態が、時間経過によって改善せず残っていることを指す。この状態は、足首の不安定さや痛み、可動域制限などを引き起こす可能性がある。

【原因】主に過去の怪我による外側靭帯の損傷と、その後の組織の癒着、または長年の関節の不安定が原因で起こることが多い。特に、若い時に捻挫した場合、靭帯が切れる前に骨が剥離骨折を起こすこともある。

【対処法】医療機関を受診し、レントゲン検査などを受けて骨折の状況を正確に把握すること。骨折のタイプやずれの有無などを確認し、適切な治療方針を決定する。治療は、骨折の程度や症状に応じて、保存療法(固定、リハビリなど)または手術療法が行われる。

腓骨筋腱脱臼(ひこつきんけん だっきゅう)

ふくらはぎの外側にある腓骨筋の腱が、足首の外くるぶしの後ろを走行する時に、その軌道から外れて脱臼すること。腱を覆う支持組織(上腓骨筋支帯)が損傷し、腱が外くるぶしを乗り越えてしまうことで、痛みや不安感が出現する。

【原因】主に急性外傷と慢性的な過負荷。急性外傷は、足首を強く捻ったり、背屈させたりする際に、腓骨筋腱が走行する溝を乗り越えて脱臼することがある。慢性的な過負荷は、繰り返しの過度の負担や、スポーツによる激しい動作によって、腱に損傷が生じ、脱臼しやすくなることがある。

【対処法】保存療法として、ギプス固定や足首を保護する装具を使用し、脱臼した腱を元の位置に戻すことで、固定期間内に修復を促す。初期には、4~6週間のギプス固定が一般的。保存療法で治癒しない場合や、再脱臼を繰り返す場合は、手術療法を検討する。手術では、腱を元の位置に戻し、より強く固定するための処置を行う。

足関節滑膜インビンジメント症候群(そくかんせつ インピンジメント しょうこうぐん)

異常な骨組織が衝突(インピンジ)、および軟部組織が関節内にはさみこまれることにより、足関節の痛みや正常な可動域が制限される病態

【原因】つま先を伸ばしたときに 足首の後ろで骨や靭帯などが挟まれ、圧迫されてしまう ことによるもの。 三角骨が脛骨と踵骨に挟まれる 骨のインピンジメント 、骨の周りの靱帯などの組織が挟まれる 軟部組織(のインピンジメント などがあります。

【対処法】まず安静と運動制限、そして鎮痛剤や消炎鎮痛剤の服用、理学療法による筋力トレーニングなどで保存的治療を行う。症状が改善しない場合は、手術(関節鏡手術など)を検討することがある。

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ということで、今回は足関節のトラブルについて記事にさせていただきました。

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