
後脛骨筋機能不全症(Posterior Tibial Tendon Dysfunction:PTTD)は、文字通り後脛骨筋腱の機能が障害されて起こる疾患です。この疾患はドミノ倒しのように、1つの障害がドミノのように次々と障害を引き起こし、荷重によるアライメントの破綻から、足全体の障害を引き起こします。今回はこのようなドミノ倒しになるメカニズムを解説していきます。
ドミノ倒しのメカニズム

後脛骨筋機能不全を「ドミノ倒し」に見立てるのは、この機能不全が足の構造に影響を与え、それが他の部分に連鎖的に悪影響を及ぼすためです。後脛骨筋は内側縦アーチを形成する重要な筋肉で、その機能が低下すると、扁平足や足関節の不調、ひいては膝や股関節、腰にも負担がかかることがあります。
後脛骨筋機能不全とドミノ倒しの関係
後脛骨筋の機能不全(ドミノの1個目)
足を底屈・内返しさせる後脛骨筋腱の機能が障害されておこる変化です。内果下方の足根菅内から舟状骨までの間で、後脛骨筋腱が膨化から断裂までの種々の器質的変化(組織や器官に明らかな構造的な異常が生じる状態)を起こし、機能が障害されます。
内側縦アーチの崩壊(ドミノの倒れ)
後脛骨筋は足のアーチを支える重要な筋肉であり、その機能不全によって内側縦アーチが崩れ、扁平足の原因となります。
足部のアライメントの崩壊(ドミノの倒れ)
内側縦アーチが崩れると、距骨骨頭は内方に亜脱臼し、踵骨は外反、前足部は外転、縦アーチ・横アーチは破綻して、扁平足や開帳足となり、外反母趾も生じる可能性があります。
膝や股関節への負担(ドミノの倒れ)
身体の土台である足の構造異常は、その上部にある膝や股関節の負担を増やし、痛みや機能低下につながりやすくなります。その結果、膝痛や股関節痛に発展する恐れがあります。
腰や背中の痛み(ドミノの最終的な影響)
膝や股関節の不調は、さらに腰や背中の痛みに繋がっていく「負の連鎖」が発生する恐れがあります。
つまり、後脛骨筋機能不全がドミノの1個目で、それが倒れることで、足の構造異常、足関節の不調、膝や股関節への負担、そして最終的には腰や背中の痛みというように、ドミノが次々と倒れていくような状態になる恐れがあるのです。
靴・インソールでの解決法
まず足部のアライメントを整える為に、踵骨をしっかりサポートすることが大切になります。それには靴でのホールドが重要となり、靴のカウンターがしっかりしているものを選びます。
踵をしっかりホールドできる靴を選んだら、次はアーチバランスを整えるためのアーチサポートインソールを使用します。これにより扁平足や開帳足をサポートすることが可能となり、足部のアライメントがしっかり整います。
ただしアーチサポートに関しては、後脛骨筋腱機能不全による重度の扁平足に対しては、過度にサポートしすぎると、足裏の痛みにつながる可能性があるので、注意が必要です。

ということで、今回は後脛骨筋腱機能不全症について記事にさせていただきました。
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