
もくじ
足のにおいの生理学的および微生物学的観点
足には非常に多くの汗腺(エクリン汗腺)が存在し、体全体の汗腺の約25%を占めると言われています。
足裏から分泌される汗は主に水と少量の塩分で構成されており、通常は無臭です。
しかし、この汗が靴の内部という密閉された環境で蒸発せずに残ることで、皮膚表面に存在する常在菌(主にグラム陽性菌である黄色ブドウ球菌や微小コッカス属)やカビ(真菌)による分解が進み、悪臭成分が生成されます。
特に生成される悪臭成分としては以下のものが挙げられます。
- イソ吉草酸: 主に黄色ブドウ球菌が脂肪酸を分解した結果生成される。
- アンモニア: 尿素分解による生成物。
- 硫黄化合物: 一部の細菌が含硫アミノ酸を分解する際に生じる。
靴の影響における考察

靴のフィッティングによる影響
靴がきつすぎると足が圧迫され、汗が出やすくなります。反対に、緩い靴では必要以上に足が靴の中で動いてしまい、余計な力がかかり、同じ現象がおこります。
足のサイズに合ったフィッティングが良いものを選ぶことが重要です。
通気性の科学
靴の通気性は、足内部の湿度と温度に直接影響を与えます。湿度が高い環境では、細菌や真菌の繁殖速度が劇的に上昇します。例えば、メッシュ構造や高透湿性ポリウレタンを使用した靴は湿気の放散に優れる一方、ゴムや人工皮革(ポリウレタン樹脂コーティング)は通気性が劣り、湿気の滞留を引き起こします。
吸湿性素材の効果
吸湿性が高い素材(例えば綿やウール)は、足の表面から汗を吸収し、素材内部に取り込みます。これにより足が蒸れにくくなりますが、一方で乾燥が不十分な場合、これらの素材自体が細菌やカビの温床となるリスクがあります。

靴は定期的に、インソールを外して、陰干しするといいですよ。
足のにおいと靴のメンテナンスに関する提言

抗菌および防臭技術
靴には最近、抗菌防臭加工が施された製品が多く見られます。具体的には以下の技術があります。
- 銀イオン(Ag+)コーティング: 抗菌作用を持つ銀イオンが細菌の増殖を抑制。
- 活性炭繊維: 悪臭成分を吸着する機能を持つ。
- 光触媒技術: 二酸化チタン(TiO2)を利用して有害物質を分解。
靴の乾燥と消毒
靴を長期間使用する場合、乾燥と消毒が不可欠です。乾燥には以下の方法が効果的です、
- シリカゲル乾燥剤: 短時間で効果的に湿気を吸収。
- 紫外線照射装置: UVランプで靴の内側を消毒することにより細菌や真菌を死滅させます。
臨床的影響と対策の意義
足のにおいは心理社会的にも影響を与え、自己肯定感の低下や対人不安を引き起こすことがあります。また、重度の場合には足白癬(水虫)などの皮膚疾患につながる恐れもあります。そのため、適切な靴の選択やメンテナンスを通じて、足の健康を保つことが重要です。
ということで、今回は足のにおいについて記事にさせていただきました。
最後までお読みいただき、本当にありがとうございます。
足と靴の知識を深めることは、日々の生活に直結する重要な要素です。皆さまに役立つ情報をお届けできるよう、今後も現場での経験と、専門的な知識をもとに記事を投稿してまいります。
引き続き、足と靴の健康を守るための情報を発信していきますので、ぜひチェックしてください。
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