足関節滑膜インピンジメント症候群(そくかんせつ かつまく インピンジメント しょうこうぐん)
足関節の骨や軟部組織が衝突したり、挟み込まれたりすることで、痛みや動きの制限が生じる状態。具体的には、関節内で骨棘(骨の出っ張り)や滑膜が挟み込まれることで、痛みや可動域制限が生じる。
【原因】大きく分けて「骨性インピンジメント」と「軟部組織性インピンジメント」の2つがある。骨性インピンジメントは、足関節の骨がぶつかることで発生し、軟部組織性インピンジメントは、靭帯や滑膜などの軟部組織が挟み込まれることで発生する。
【対処法】安静と運動制限、そして理学療法が中心。痛みや炎症を抑えるために、鎮痛剤やステロイド注射を検討することがある。症状が改善しない場合は、手術で原因となる部分を摘除する治療も選択肢となる。
※インピンジメント:「衝突」「挟み込み」などの意味
距骨嘴(きょこつずい)
距骨頚部背側に生じる骨棘。先天性足根骨癒合症に合併することが多く、圧迫しない限り症状はない。
【原因】スポーツ選手などに見られる慢性的なストレスや、足関節捻挫後の後遺症が考えられる。また、距骨骨折に合併したり、アルコール多飲、ステロイド薬の投与など、血液流入が制限されるような要因も影響するとされている。
【対処法】先天性足根骨癒合腫を発見する目標にはなるが、治療を必要とすることはまれ。
足関節前方のimpingement exostosis(そっかんせつぜんぽうのインピンジメント・エクソストーシス)
足関節前面の骨棘や軟部組織が原因で、足関節の背屈時に痛みや可動域制限が生じる状態。スポーツ選手に多く、特にサッカー選手によく見られる。治療法としては、保存療法と手術療法がある。
【原因】過去の捻挫や外傷、繰り返す足首の負荷により発生する。これらの要因によって、足関節前方の骨が突出(骨棘)したり、軟部組織が肥厚したりすることで、関節が狭窄し、痛みを引き起こす。
【対処法】安静や運動制限などの保存療法が第一選択。理学療法や装具療法、消炎鎮痛薬なども有効。保存療法で効果がない場合は、手術が必要となる場合がある。
※インピンジメント・エクソストーシス:衝突性外骨腫
伸筋腱腱鞘炎(しんきんけん けんしょうえん)
足の甲や足首の前側に痛みが現れる炎症のこと。症状は、痛み、腫れ、熱感、足背部のむくみなどがあります。
【原因】主に腱の使いすぎや繰り返しの動作による炎症が原因。具体的には、長母指伸筋腱や長趾伸筋腱を使いすぎることや、坂道や階段歩行などによる負荷が挙げられる。また、不適切な靴や過度なトレーニングも原因となることがある。
【対処法】まずは安静と固定を行い、炎症を抑えることが重要。冷却や温熱、消炎鎮痛薬の服用、必要であればステロイド注射などを検討する。
伸筋支帯絞扼性神経症(しんきんしたい こうやくせい しんけいしょう)
足関節の前方にある深腓骨神経が、伸筋支帯などの組織によって圧迫され、神経が絞扼されて起こる疾患。
【原因】靴紐の締めすぎ、ガングリオン、足の怪我や手術による癒着などが挙げられる。
【対処法】安静に保ち、圧迫を軽減する靴を選び、必要に応じてストレッチやリハビリを行う。症状が改善しない場合は、医療機関を受診し、薬物療法や手術を検討する必要がある。
※絞扼性:圧迫や締め付けによる状態を表す。
足関節部滑液包炎(そっかんせつぶ かつえきほうえん)
足関節にある滑液包と呼ばれる組織が炎症を起こし、腫れや痛みが生じる疾患。滑液包は、関節の動きをスムーズにするための潤滑剤(滑液)が入った袋状の組織。
【原因】主に滑液包への物理的な刺激、使いすぎ、または感染症によるものが多い。特に、正座やあぐらの体勢を繰り返す、同じ動作を繰り返す運動、関節を使いすぎたり、ある部位に繰り返し圧力がかかったりすることが原因となる。また、ケガ、痛風、関節リウマチ、一部の感染症(特に黄色ブドウ球菌によるもの)なども原因となりえる。
【対処法】安静と冷却、痛みや炎症を抑える薬、必要に応じて注射や手術がある。症状が軽度な場合は、安静と冷却、鎮痛剤の内服や外用などで対応できることが多いが、症状が改善しない場合は、医療機関を受診して適切な治療を受けることが大切。
脛腓靭帯損傷(ひこつじんたいそんしょう)
足首の捻挫で発生する靭帯の損傷の一つで、脛骨と腓骨を結ぶ靭帯が損傷する状態。症状は、足首の前面や上部の痛み、腫れ、場合によっては内出血などが見られる。
【原因】主に足首の捻挫によるもの。スポーツ活動中に足首を過度に捻じったり、着地を失敗したりすることで発生する。特に、コンタクトスポーツでは、相手の足の上に着地することで損傷することが多いとされている。
【対処法】主にRICE療法(安静、冷却、圧迫、挙上)とリハビリテーション。受傷後すぐに冷却と圧迫を行い、足を高く挙げて安静にする。その後、損傷の程度に応じて固定やリハビリテーションを開始する。

ということで、今回は足関節のトラブルについて記事にさせていただきました。
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